終演報告ーー「友達」
おはようございます!
熊谷です(*^^*)
ちょっとだけお久しぶりですね✨
ムシムシ度合いも相変わらず、
暑すぎる日中を避けて、朝と夕方はセミが元気に鳴き、
そして台風がよく発生する時季になってきました。
先日の大型台風は皆様無事乗り越えられましたでしょうか?
熊谷は、結果的に丸一日家にいることになったので巣ごもりしておりました(^_^;)
おかげさまで、
先月末、7月末の劇団第一主義「友達」の公演を、
全公演、無事に全て終えることができました✨
ご来場くださった皆様、応援してくださった方々、
ありがとうございました!
第一主義は、新生で立ち上げて、今回で八回目の公演。
八回目にして、第一主義的新たな挑戦を試みた公演でしたが、
見に来てくださった皆様、
楽しんでいただけましたでしょうか??
これまでの公演と違うのはやはり、
これまでお借りしてきた台本の作者が異なること。
前回までの公演は、
同じく大阪の小劇団であるオリゴ党さんの作家さん、岩橋貞典さんの本をお借りしての公演でした。
「自身の演出の力を試したいから。」という意味もあって、
新生で立ち上げ直した第一主義。
主宰兼演出の沢渡さんのこの思いの下、
岩橋さんの本をお借りしての公演も前回で7回目。
岩橋さんの本を何本もお借りしてきましたが、
コロナ禍が落ち着いてきたこともあり、
ここで、演出の沢渡さんは他の作者の本にも向き合いたい、と思っていました。
そこで今回の公演は、
これまでお借りしていた岩橋さんの本ではなく、
別の作者の作品で演出をしてみよう、ということにm(_ _)m
そんななか、候補に上がったのが、
今回の安部公房さんの「友達」。
知る人ぞ知る、この安部公房さん。
いわゆる「不条理劇」と言われるジャンルの代表作家さんなのですが、
同じく不条理劇で有名な方と言えば、やはり別役実さんでしょう。
そんな有名どころの作家さんで、
しかも、なぜ今回、安部公房さんの「友達」を選んだのか?
理由はいろいろあるのですが、
結果的に、一番の理由は、
この戯曲を読んだときの熊谷の感想が「面白かった!」だからだそう(笑)
少し話が変わりますが、熊谷が高校生のとき。
安部公房さんの小説が、高校のときの国語の教科書に載っていました。
「棒になった男」という小説です。
熊谷にとってはそれが安部公房さんの初めての作品だったのですが、
当時17歳ぐらいかな?
初めてでした。
「比喩も例えもこんなに曖昧なままな文章で、それでも何かの風刺だったりテーマがあるような気がする……!」と思える小説を読んだのは!
やっぱりまだ十代の頃ですと、
展開や設定のわかりやすい小説ばかり読んでいましたし、
当時は、教科書に載っている評論などはあんまり面白いとは感じていませんでした。
自慢ではありませんが、比較的学校の国語の成績が良かったという自負があったから、
というのもあると思います(^_^;)
ですが、このときは違いました。
「全く意味がわからないのになんでこんなに面白いの!?」と思ったんです。
読み終えた直後、
頭は真っ白だし、この本が何を書こうとしているのかも全く理解できなかったのに、
ただただ「面白かった!」という感想だけが出てきました。
それが、当時の熊谷にとっての、安部公房さんの「棒になった男」でした。
それから約10年程経ちまして、
その当時以降、自分で探して安部公房さんの他の作品を読む、という行動はしていなかったのですが、
第一主義の主宰兼演出である沢渡さんが、この私の話を聞いて、安部公房さんの戯曲集を買ってくれまして。
そのときです。
初めてこの「友達」を読んだのは。
戯曲集の中でこの「友達」を一番最初に読んだのは、
若かりし頃の沢渡さんが役者として出たことのある作品だから。
なんでも良かったんですけど、
せっかくですから安部公房さんの初戯曲ということで、手始めに「友達」を読んでみました。
第一感想は「全然わからないけど面白い!なんで!?」でした(笑)
先程国語の成績は良かった、と申し上げたかと思います。
お芝居の世界に入って、
読解力に関しては多少の自惚れも持ちつつ、
それでも自分なりに読解力を更に磨いてきたつもりでいました。
それでも、、、
全くわからなかったんです!
この本の意図している何かしらのテーマなどが全く!
……ええ、すぐさまネット上で検索いたしましたよ。
「友達」の解説を(笑)
自分の読解力では全く歯が立たなかったのは、
このタイプ、いわゆる「不条理もの」の作品を読んだことがほとんどないから、
というのが理由だったのはしばらく経ってから気付くのでですが、
読み終わった直後は「???」となっていたのをよく覚えています(笑)
しかしながら、
学生で、学校という世界しか知らなかった頃と、
成人もして社会人としてもそれなりに過ごしてきた今と、
十年越しに読んだ安部公房さん。
おんなじ作者と言えど、
違う作品で、かつ、時間も経っていて経験値もそこそこ積んだはずなのに、
第一感想はどちらも「わからないけど面白かった!」でした(笑)
自分の知らない世界を知れることが楽しいので、
私がこの戯曲を「面白い!」と感じたのは、それも理由かもしれません。
とにもかくにも、面白かったんです(笑)
どの本で公演を打つのかは、最終的には主宰の沢渡さんが決めるのですが、
熊谷の感想が「面白い!」だった以外にも、
この「友達」を選んだ理由がありますm(_ _)m
それは、
熊谷を主役らしい主役に据えられる戯曲だったから。
前回の公演「ほにゃらら殺人事件」を見てくださった方は思い出してみてください。
この「ほにゃらら〜」では、わかりづらいですが、
熊谷の役が実質上の主役でした。
お芝居の物語の根幹を担っていたのは、
第一主義にずっと出てくださっている古田里美さんと上田裕之さん、お二人の役でしたが、
「ほにゃらら〜」で起こっているストーリーのメインは熊谷の役。
ミステリーものということもあって、大々的に「熊谷が主役です!」とは言えない作品でした。
だって、殺人事件の犯人ですから(笑)
自分では″隠れヒロイン″と呼んでいましたが、あながち間違ってはいないでしょう(笑)
ですが、
物語上では主役でも、お客さんから見て、
「あ、この人が主役なんだな。」というわかりやすい主役ではありません。
あくまで、古田さんや上田さんの陰に隠れた主役。
お客さんの視線を一気に集める役どころではないのですm(_ _)m
第一主義でずっと育ててもらっていて、
陰ながらとは言え、前回の公演でついに渡された「物語上の主役」。
では次の公演ではどのような役を熊谷に渡すべきか?
そこで沢渡さんは思いついたんです。
「友達」の主役なら、主役らしい主役として配役できると……!
そう!
これぞ第一主義的新たな挑戦!!
まだまだ成長過程な熊谷を、
たくさんの諸先輩方を巻き込んだうえで主役にするという一大決心!!
不条理劇の有名どころ、という作品を扱うだけでもかなりの挑戦なのに、
まだまだ実力不足でまだまだ勉強中。
そんな熊谷を、この大変な作品で主役にしよう、と思ってくださったのが、
第一主義、いえ、主宰の沢渡さんとしてかなりの挑戦をした公演だったのですm(_ _)m
ちょっと前置きが長くなってしまいましたね(笑)
導入はここまでにして、
お芝居の中身のお話にいきましょう(*^^*)
ご覧の通り、今回のお芝居の舞台美術はこんな感じ。
……ん?
なんか形の変わった箱しかないじゃん?
と、思われましたよね??
そうです。
これこそ、今回の舞台美術!
前回の「ほにゃらら殺人事件」も、すっきりとした美術ではありましたが、
今回はよりすっきりとした美術。
というより、「何もない」のを目指した美術なんです!
これぞ、今回の演出の第一方針!
何故、この「何もない」のを目指したのか?
それは、「何もない」という舞台は、役者や演出によって「どこにでもすることができる」から!
ちょっとわかりづらいかとは思うのですが、
今回の舞台美術に関しては、これが一番の理由ですm(_ _)m
演出の沢渡さんがよく言われていることなのですが、
この「何もない場所」を「どこにでも見せることができる」のは、
映像作品では不可能。
舞台作品だからこそできる見せ方!
稽古場日誌でも再三書いていたと思うのですが、
やはり、この有名どころの不条理劇。
演出としての最初のお仕事であるキャスティングに加えて、
お芝居の見せ方、並びに舞台美術のイメージの立ち上げがございます。
ですが!
いつもは、本を読んだだけですぐに美術が思い浮かんでくる沢渡さんでも、
この「友達」にはかなりの苦戦を強いられました。
というのも、
「一人暮らしの部屋をしっかり作ってしまうと、今回の演出方針にはそぐわない。」と思ったから。
お芝居の場面転換としては、
引っ越ししたての一人暮らしの女性の部屋→ベンチのあるとある公園→再び女性の部屋
という流れの今回の台本。
確かに舞台転換が大変だとかなんとかなどの条件はございますが、
いえ、それ以前に、「部屋」を作ることによって、
このお芝居で見せたいことがずれてしまう、という懸念のほうが大きくて。
そこで!
それならここは割り切ってしまおう!
これは映像作品ではなく舞台作品なのだからっ!!
舞台作品の良いところとして、
熊谷が個人的に好きなところは、
「舞台上で行われている全てのお芝居は、自分で好きなところを取捨選択して見ることができる。」
「実際の物がなくても、実際にその場所でなくても、
演出や役者の見せ方によって、本当にそこにあるかのように、またその場であるかのように見せることができる。」
というところですm(_ _)m
これは個人的な好みですが、
舞台が舞台らしい見せ方、いえ、
舞台でしかできない見せ方をした今回の演出方針。
今回の舞台美術に辿り着くまで時間もかかりましたし、
読み合わせを終えていざ立ち稽古に入ったら入ったで、
立ち位置整理やらに、かなり苦戦させられました。
「何もない」美術に加えて、特殊な演出をすることを決めたのが、
第一主義流の「友達」。
この特殊な演出の最終は、こちら。
最後の最後のシーン、
いわゆる「檻」ですね。
役者が立っていませんし、舞台照明も入っていない状態だと、
何がなんだかわかりませんね(笑)
主役の女性が、
家族たちの手によって、檻へと閉じ込められてしまう。
見てくださった方々は思い出してみてください。
照明と役者ありだと、ほら。
舞台上にある箱が檻の柵代わりとなり、
熊谷とキリコさんのいる場所が、それぞれ区切られているように見えませんか??
そう!
これこそ!
舞台だからこそできる見せ方!
リアルさを求めるのであれば、
こちらのシーンは、本来は、
檻の中に熊谷が閉じ込められ、その真正面にキリコさんがいて、向かい合っているシーン。
このシーンで、役者が二人とも前を、客席側を向いて会話をしていたとしても、
実際の檻がなかったとしても、
劇中で熊谷にかけられた毛布が透けているキラキラとした布だったとしても、
何もかもが「そこにあって」「そのように見える」。
そう、これは「舞台」だから!
演出が決める、お芝居の方向性や見せ方、
実際にそこにあるかのように見せるために、役者や音響、照明による「イメージ」の想起、
そして、お芝居を見てくださっている皆様の「イメージ」や「想像力」、
これら全てが合わさっての楽しみ方ができるのが「舞台」なのだと、
今回の公演を経て、熊谷はより思いましたm(_ _)m
お気づきの方もいらっしゃると思うのですが、
このラストのシーンが、舞台的見せ方を貫き通すことが決まったことにより、
今回の作品では小道具はほぼ無しにいたしました。
じゃないと、
前を向いたままの状態では、真後ろのキリコさんから熊谷は物を受け取れないですから(笑)
このシーンで小道具は「無し」という選択肢をしたのですから、
その前までのシーンもそうであった方が一貫して見せられます。
ですので、
お芝居前半の、スマホ、財布、現金や100円玉、鍋なども全てエアーで、
いわゆるマイムでの見せ方を行いましたm(_ _)m
唯一の小道具らしい小道具は、
家族たちのカバンですね。
あれだけは、家族たちの「引っ越し感」を強調したかったので、カバン多め荷物多め。
最後のシーンでは、最後のほうのセリフに引っ掛けて、
なんだったら最初より荷物が増えているほうが好ましい(笑)という演出からの要望もありました(笑)
……今回の公演の総集編長いな(笑)
それだけ特殊な演出をしていましたし、
それだけ大変だった本ということですが、
もうしばらくお付き合いくださいませ(笑)
さて、舞台美術に関してはここまでにして、
先程からちょこちょこ出てきています今回の公演の「特殊な演出」についてお話していきますね✨
見てくださった方々は気付いていただけましたでしょうか?
稽古場日誌で散々書いていた、
「主役の熊谷は常に舞台の真ん中」「熊谷は常に前を向いてお芝居をしている」
「家族たちは、熊谷に話しかけるときは真正面を向いてお芝居をする」
この演出の狙いは、そう。
「あなたならどうしますか?」
主役の熊谷は、見てくださっているお客様とおんなじ立場であり、
そして家族たちは、主役である熊谷にではなく、お客様である「あなた」に話しかけていたんです!
今回の演出の土台は、これなんです!
ここで、今回のお芝居をざっくりとおさらいいたしましょう。
とある一人暮らしの女性の元に訪れたのは、
全く見も知らぬ家族たち。
彼らの目的は「一人ぼっちのあなたを癒やすこと。」
何故なら「我々はあなたの友達」であり、「あなたは病気なのだから。」
いくら抵抗や拒否をしても、誰かに助けを求めても、
家族たちは自分たちの、あなたの病気を治すという「義務」のもと、
女の家に居座り続け、女の財産も管理され、退職金の前借りまでさせられる。
「吸い取り紙」として、吸われるだけ吸われて、
挙句の果てには「病気を治す」ための最後の手段として毒入り牛乳を与えられ、
女はその場で息絶える。
家族たちの目的がちゃんと果たされたのかはわからない。
女の家を後にして、家族たちは歩きだしていく。
自分たちの「義務」のため、次の「友達」の元へと。
熊谷なりの言葉ではありますが、
思い出していただけましたでしょうか?
熊谷が初めてこの戯曲を読んだ直後、
頭が追いつかなさすぎて、解説をネットで検索したと申し上げました。
そのとき得たのは、「親切の押し付け」。
様々な角度から様々な解釈ができる作品ですので、
一概には言えませんが、熊谷的にはこれが一番しっくり来ました。
ですが、他の解説では、
「不法侵入してきた家族たちにより、たまたま目をつけられた主役が最終的に不遇の死を迎えるサスペンス」と書かれていたりします。
……違うんです!
熊谷のしっくりきた「親切の押し付け」をテーマに持ってきたいなら、
サスペンスにしてしまうと、このお芝居の根幹がずれてしまうんです!
演出の沢渡さんが実際どうこの「友達」を解釈されたのかはわかりませんが、
演出的に気を付けていたテーマがあります。
「家族たちを犯罪者集団にしたくない。」というテーマ。
いえ、傍から見たらどちらにしろ犯罪者集団なのですが。
ですが、第一主義は、家族たちが主役のサスペンスではなく、
何故か巻き込まれてしまう主役の不条理劇にしたかったんです!
これも、「何もない」舞台美術を目指した一つの理由でもありますm(_ _)m
だって、不法侵入を訴えて助けを求めた警察が全く取り合ってくれずに帰ってしまったあと、
何故その場から主役は逃げ出さなかったのか?
いえ、逃げられなかったのか?
これは主役の性格にも要因がありますが、
自宅から逃げようとした矢先に玄関先を塞ぐ、逃げ道をやんわりと塞ぐなどの行為を行ってしまうと、
家族たちは悪意を持った犯罪者となり、そうなると、サスペンスものになってしまいます。
いえ、家族たちは、自分たちの行動はあくまで「好意」に基づいて行われているもの。
最初から「吸い取る」ことが目的でありません。
しっかりと「部屋」の美術を飾ってしまうと、
役者自身も「逃げる」という行動をしたくなってしまいますし、
「逃がさない」という行動を取ってしまいたくなります。
そして、そこに具体的な物がある美術は、
お客さんによりその印象を与えかねません。
逃げるという選択を取らずに、自宅にいるまま家族を追い出すことを選んだ主役もそうですが、
主役も主役で家族たちと当たり前に同じ空間にいる、ということが大事になってきます。
この「親切の押し付け」、
言い換えると「自分の正義を振りかざす」でしょうか。
個人的には「親切の押し付け」のほうがしっくりきますが、
どちらにせよ、今回の演出方針のメインは「巻き込まれていく主役」。
家族たちをメインにしたくなかったのですm(_ _)m
話を元に戻しますね。
今回の演出の目的は「あなたならどうしますか?」
主役である熊谷が、見てくださっているお客様とおんなじ立場であり、
「家族たちに不法侵入されている」側、
そして、家族たちが語りかけるのはお客様である「あなた」なんです。
ですので、
見終わった後、不安そうに投げかけてくださった感想がありました。
「見た後すっごく嫌な気分になったんだけど、これで合ってるのかなぁ。」
第一主義を何回も見に来てくださっている方で、毎回楽しんでくださっている方ですので、
より不安になられたのかもしれません。
その感想、大正解です!
いえ、感想は人それぞれですので、正解、と言ってしまうと語弊がありますね。
お芝居をかなりしっかりと見てくださっている方の感想として、大正解ですm(_ _)m
だって、主役とおんなじように、家族たちに不法侵入され巻き込まれている、
という気持ちをしっかりと感じてくださった、ということですから。
まぁおかげで、
受付や場内整理の方々の話によりますと、
今回のお芝居、見終わった後のお客さんの劇場を後にするスピードがかなり早かったのだとか!
演出自身がそれを狙った、と言われていたので、
この反応は自然なことだと思うのですが、
「この場から早く去りたい!」という気持ちにさせてしまうお芝居だったそうで。
えぇ〜っと、、、
そんな戯曲を選んでしまってすみません(^_^;)
でも言い訳しておきます。
この戯曲が面白かったのが悪い…!(笑)←
さて、ここで熊谷の反省ターイム!∑( ˘•ω•˘ )
熊谷、初主役じゃないですか。
しかも演出の方針上、ずっと真ん中にいるし、
お客さんの目線もずっと集めているはずだし。
だからやっぱり緊張してたんですね。
初日は特に。
自分で言うのもなんですが、
ビミョーに肝座ってると思うんですよね。
ハプニングには弱いですが、
これまで稽古してきたことをちゃんとできればOK、
失敗したらそのときどうにかすればいい!って、思ってるんです。
だから良い意味での緊張はしてても、
悪い方向にはいかないようにコントロールできていたつもりだったんですが、、、
いやぁ、ガチガチに緊張してました。
柄にもなく(笑)
でも、自意識過剰なんで、期待もしてたんです。
「初主役、良かったよー。」「頑張ってたねー。」って感想。
……無いじゃないですか!
ほとんど!!Σ(゚Д゚)
蓋開けてみたら「怖かった!」「家族たち早く出てけ!」「うわ、こんな上司いる、、、」
という感想がたくさん!
いや、皆さんが悪いわけじゃないんで最後まで熊谷の話を聞いてください!(笑)
で、ここでやっと気付くわけですよ。
「そっか、私はお客さんとおんなじ立場で、その投影でなければならないんだ。」
……今更かーい!!Σ(゚∀゚ノ)ノ
このご時世なのでSNSでエゴサするじゃないですか。
連絡先を持っている方なら直接ご連絡するじゃないですか。
出てくる感想は、熊谷個人に関してではなく、
お芝居全体の感想ばかり。
それが当たり前なのですが、
自惚れて期待してた自分が恥ずかしくなりますよね(笑)
初日が開くまでお客さんの反応は正直分からないし、
エゴサしたらこんな感想、二日目も似たような感想がたくさん。
初日を迎える前日、
演出部である音楽家、マツキクニヒコさんに言われたことがあります。
「主役であるあなたは、お客さんに向けてお芝居をするんじゃなくて、
演出に向かってお芝居をしなさい。
それが今回のあなたの仕事だし、初主役を支えてくれる周りは最高の布陣だから。」と。
そのときはピンとは来ませんでした。
テンションが上がって不必要なことをして作品を潰してはいけない、という忠告でもあるし、
エールとも取れるし。
けど、おそらくそれだけではなかったのでしょう。
私の今回の主役は、「お客さんと同じ立場である」という役どころ。
本番を二回終えてから気付きました。
稽古場で稽古の映像を見て、
「銅像みたいな棒立ちではなく、自然と受け芝居をして。」と言われた本当の意味。
……今更かーい!!!(第二弾)
すみません、今回の演出の意図に全くもって気付いておりませんでした(@_@;)
ですが!
初日も二日目も、演出の狙った通りの感想が出てくるということは、
熊谷はちゃんと自分の役を全うできていた!ということでしょう!
いえ!
できていた!ということにしておきましょう!(笑)
何でしたら、初日、思いっきり自分のセリフを一つ飛ばして周りにご迷惑をかけたし、
その直後に、自分がセリフを飛ばしたことに、舞台上にいるときに気付いて一人で内心ざわざわしてたし、
でも稽古場での通し稽古で、主役の私の集中力がもてば大丈夫な作品!だということもわかっていたから、
私が頑張れば大丈夫!と開き直ってたし!(笑)
「主役を通して、家族たちの不法侵入を受けているのはお客さん。」
気付くのは遅かったのですが、演出の狙いのこのお仕事をできていたなら幸いですm(_ _)m
稽古最中に気付けなかったことは悔しいんですけどね(笑)
では、
第一主義流、安部公房さんの「友達」を見てくださった方々にお聞きしますね。
「あなたならどうしますか?」
元記者は家族たちに感化されました。
「あなたたちの行いは素晴らしい」と。
始めはおんなじように抵抗していた婚約者も、
いつの間にか家族たちと仲良くなってしまいました。
「この人たちはきっと悪い人たちではないのだろう。」と。
主役の女性は、最後まで必死の抵抗を続けました。
居座られ続けても、檻に閉じ込められても、外の世界の一つである「新聞」を見せてくれなくても。
だから投げかけられてしまったのです。
「逆らいさえしなければ、私たちなんか、ただの世間にしか過ぎなかったのに……」
どれが正しいかではなく、「あなたならどうしますか?」
見も知らぬ赤の他人の家族たちが好意と信念を持って、
あなたの元を訪れます。
「あなたのためですよ。」という決まり文句とともに。
不条理劇とは便利な言葉ですよね。
実際にはあり得ないであろうこのシチュエーション。
SFでもファンタジーでもない、リアルな設定のままのお芝居。
こんなことは実際になくても、
類似するようなことが実際に周りに存在しませんか?
思い当たることがあったら、
考えてみてください、そのときの自分の行動を。
想像してみてください、あなたならどう感じるか。
「作者は絶対そんなことまで考えて書いてない!(笑)」と、
どの作品でも、稽古場で作品を作っているときにはよく出てくる言葉なのですが、
今回の作品はいつも以上にこの言葉が出てきていたかもしれません(笑)
それぐらい、たくさん、
たっくさん悩まされました、今回の台本(笑)
ほんま長いな今回の終演報告!
もう一息ですよ皆さん!(笑)
今回、不条理劇の代表作家、安部公房さんの「友達」をお借りしての公演となりました。
お借りしている以上、ほとんど変更はしない、
というのが一応セオリーとしてはあるのですが、
今回は熊谷を主役に据えるにあたって、性別をいくつか入れ替えました。
変更点も合わせて、こちらで配役をご紹介させていただきますm(_ _)m
祖母、古田里美さん
父、ことぶきつかささん
母、宮本円さん
長女(元戯曲では長男)、平本真弓さん
長男(元戯曲では長女)、村尾オサムさん
次男、斉藤彰一さん
次女、キリコさん
婚約者(元戯曲では女性)、上田裕之さん
管理人/元記者、寿葬屋さん
警察官、南田吉信さん
女(元戯曲では男性)、熊谷香月
あ!
何人かから質問されたのでここで言っておきますね!
ぶっきーさんの管理人さんは、元々女性の役で、
ぶっきーさんも、台本通り「おばさん」で演じられています!(笑)
元記者は、元々男性ですよっ(笑)
また、演出上の都合により、
家族の一員である「末娘」と、元々二人だった警官は「若い警官」をカット、
台本上では冬だったのを初夏に変更いたしました。
ですが、
役はカットしても、セリフやシーンはほぼカットしておりません。
末娘のセリフは、祖母や母に割り振り、
二人だった警官は一人に集約いたしました。
30年ほど前の若かりし頃の沢渡さんが出演された「友達」は、
婚約者も元記者も出ていなかったらしいです。
50年程前の戯曲ですので、
アパートをマンションに、黒電話をスマホにするなど、
現代に置き換えたりもしましたが、
元々の戯曲の流れはほぼそのままで上演いたしましたm(_ _)m
亡くなられている方ではありますが、
安部公房さんのこの戯曲をお借りしての上演ができまして、
とても嬉しく思います。
50年程前に書かれた戯曲とは思えないほど、
現代に通じる部分もたくさんあり、
おかげで演出役者ともに大苦戦を強いられました(笑)
安部公房さん、ありがとうございました✨
長々とお付き合いくださりありがとうございました!
自分でも書いてて、「……え?まだ終わらへんの??」と思っております(笑)
ご来場してくださった皆様、ありがとうございました!
第一主義流、元祖不条理劇、楽しんでいただけたなら幸いです(*^^*)
本番を見に行けず、
見逃してしまったというそこのあなた!
ご安心ください!
今回の舞台の映像配信、ございます!!
舞台らしい演出で、本当に舞台らしい作品に仕上がっていますので、
見に来てくださった方のような、臨場感やリアルな怖さは感じられないかもしれません。
ですが、今回、映像撮影、編集してくださった明平英樹さんから、
こんな言葉をいただいています。
「何回も見ることで、いろんな理解や解釈が感じられる作品だね。」と!
一回見ただけでは、熊谷が初めて元々の戯曲を読んだのとおんなじように「???」となってしまう今回のお芝居。
でも、主役視点で見たり、
はたまた俯瞰して自身の周りに近しいことがないかを想像しながら見てみたり、
この終演報告でがっつり演出のネタバレをしていますので、それを確認しながら見てみるのも面白いかもしれません!
映像配信は↓の専用のストアページからご購入していただけますm(_ _)m
配信映像は、
カメラ固定の「定点バージョン」、カット割りありの「編集バージョン」の二種類ご用意!
一度購入していただければ、どっちのバージョンも期日まで見放題です(*^^*)
そのときそのときの誰かの視点メインで見たいなら「編集バージョン」、
今回の舞台の演出も合わせて楽しみたいなら「定点バージョン」!
どちらも見れますので、そのときの気分に合わせてぜひご覧くださいませっ
……あ、今更ですが、
役自体に名前などの固有名詞がなく、
役割で書かれているのも、今回の演出の目的の「あなたなら〜」にかかっているかも?
知らんけど!(笑)
「この台本、名前がないから、あなた、としか呼ばれないね。」という言葉の受け売りですが、
どの先輩からの受け売りなのかは内緒っ!(笑)
本番を見逃した方も、もう一度ご覧になりたい方も!
見た後に考えてみてください。
「あなたならどうしますか?」
改めまして!
劇団第一主義 新生第捌回公演「友達」
ご来場してくださった方々、応援してくださった方々、
ありがとうございました!
未来形にしておきますね(笑)
これから配信映像をご覧になろうとしてくださっている方、
ありがとうございます!(笑)
新生捌回目にして、いただいたがっつりの初主役。
まだまだすぐには理解できないことだらけだし、
すぐにはできないことも多いし、演出の意図もすぐには汲み取れないし(笑)
そんな熊谷ですが、
この熊谷の初主役の公演にお付き合いくださった役者の諸先輩方、
スタッフさん、主宰の沢渡さん、
ありがとうございました。
おかげさまで、緊張も乗り越えて最後まで終えることができましたm(_ _)m
さ!
今回の公演の終演報告はこれまで!
長すぎてびっくりする!
それだけ大変な本だった、ということにしておこう(笑)
第一主義、次回の公演は、
熊谷をメインにした少人数でのお芝居を、と考えておりますm(_ _)m
引き続き安部公房さんの作品をお借りするかどうかはまだ定かではありませんが、
有名どころの方の作品をできればな、と、現在作品を選び中!
こないだ、沢渡さんと図書館に行ってきました。
何冊か借りてみました(笑)
次回公演の詳細は、決まり次第、
劇団HPや劇団Twitterにてお知らせさせていただきますね✨
まだまだこれからも暑い日が続きます。
引き続き、熱中症などにはお気をつけて!
また次回の公演でお会いいたしましょう!
ありがとうございましたっっ!!
熊谷香月