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死なない薬 8日目

稽古場日誌8日目




おはようございます!

熊谷です


いつの間にやら6月になっていましたね。

コロナ禍になってから季節が過ぎていくのが早い気がします。

季節を感じられるイベントがほとんどないですからね。

おそらくその影響かとは思うのですが、

にしてももう6月なのか!って感じてしまいました(_;)



第一主義の公演は、7月28日(水)から!


まだまだ稽古は続きますよー!



↓↓↓↓↓

そんな本日の小ネタ動画はこちら!


今回は、我らが大女優の一人、平本真弓さんが出演されていますー



そのときいた人たちのじゃんけんで、負けた人が出演、という、

いつの間にやら「コント被害者の会」がにわかに出来上がっているこの頃です()



決して出たくないわけじゃないんですよ?

これも稽古場での楽しいネタです()


ことぶきつかささん、いつも小ネタの提供、

小ネタの小道具提供ありがとうございますm(_ _)m




それでは稽古開始!



本日も読み合わせ


しかし!

本日は人数少なめ(T_T)

稽古できるシーンが限られてきてしまいます。。。



メンバー的にできるところがかなり細切れではありますが、

できるところを読み合わせしていきますね(*^^*)




ちなみにですが稽古の第一段階であるこの読み合わせ、

そろそろ終盤に近づいてきている模様。



だって、

個々の役者ごとに、

「ここは立ち稽古始まってから相談しないとだね。」

「ここのセリフは音楽が出来上がってからの調整だね。」

と、そんな話がちらほら上がってきているのです。



稽古の第二段階、「立ち稽古」への準備が着々と進められているのです!



この読み合わせでは、

個々の役の方向性、演出の方向性、

会話のリズムやテンポ感、それぞれのシーンでの動きの想像など、

いろいろと立ち稽古に入るための準備を行っています。



個々の役の方向性は粗くとも整ってきてはいるのですが、

もう一息、読み合わせでのクオリティを上げておきたい!



なぜなら、

このときのクオリティがお芝居のかなりの土台になるから!



何回か前の稽古場日誌でもお話ししたかとは思うのですが、

第一主義のお芝居は基本的には「会話劇」。


お芝居の大半が、会話によってストーリーが進んでいく形式のお芝居です。



ということは、

まだ「会話だけ」している稽古の段階、

つまりはこの「読み合わせ」の状態で、

できる限りしっかりと仕上げていきたい!


そして面白いお芝居の土台につなげたい!



読み合わせでの目標としては、

すっごく耳心地が良く、聞き入ってしまうドラマCDでも作っているようなイメージでしょうか??



それぐらいこの読み合わせは大事な作業なのですが、

そのクオリティを上げる作業の一つに、

「カット割り」というお仕事があります。



この「カット割り」という言葉、

実際は、映像作品のようなカメラワークの専門用語なのですが、

今回は、舞台公演の演出の一つとして使っていきますね。



皆様もご存知の通り、

映像作品は基本的には画面一つ(コマ割り一つ)が、

カメラワークによって、見ている画面がコロコロと入れ替わっていく娯楽作品。


しかし、舞台公演は、スタンダードなもの(客席一面だけのもの)ですと、

大きな一つの額縁(舞台)にいろんな情報を盛り込んでいる形式の娯楽作品です。



映像作品は、演出や監督が、

「今この画面はこれを見せるんだ!」という方向性のもとに、

カメラワーク(コマ割り)が決められていて、

お客さんに今見てほしい情報をわかりやすく示してくれます。


でも、舞台はちょっと違いますよね。

今ここを見てほしい!と思っていても、

映像のように、そこをクローズアップすることはできません。


あくまでも、見に来てくださっているお客さんそれぞれで、

今舞台で行われている「好きなところ」を取捨選択してもらう楽しみ方です。



好きな俳優さんが出ていれば舞台の端の方でもその方を見ていて、

そのシーンで大事な話をしている人の話を、一緒に一生懸命聞いていたり、

その話を聞いている相手の表情に注目してみたりと、

お客さんそれぞれで視点が変わってきますよね。


舞台上で行われているたくさんの情報から、

どれをクローズアップして見るのかは、お客さんに委ねられているのです。




え?

じゃあ、舞台では、

見てほしいところをわかりやすく示すことはできないってこと??


それじゃ作品として成り立たなくない???



……いいえ!

そんなことはありません!!



例え、「カメラ」という媒体がなくとも、

舞台でも今見てほしいところをクローズアップすることはできます!


わかりやすい方法で言いますと、

照明でそこにスポット明かりを当てる、というような方法ですが、

ここでお伝えするのはそうではありません!


そう!

ここで出てくるのが「カット割り」という手法!



「今はここを見て!」と、

演出や役者が、お客さんにちょっとした動作などで示す作業のことなのです


ざっくり言ってしまいますと、

いわゆる「見せ場」のシーン、

そのシーンでの、メインの役の人は、

ちょっとだけ舞台の前のほうに出ているとか、

お客さんの方にしっかりと顔がよく見えるように正面を向いてしゃべっているとか!


「今はここを見てください!」と、

ちょっとだけ目立つようにするような作業ですね()



映像作品のようにピンポイントにそこだけを示すことはできなくとも、

舞台は舞台で、ちょっとした動作や目立つポジションへの移動などでの目線誘導によって、

この「カット割り」という作業を行っております。



さて、話を読み合わせに戻しますね


この「カット割り」という作業、

お芝居の土台作りとなる読み合わせでも、もちろん重要になってきます。



少し前に書いた例え話を覚えていらっしゃいますか??


「ドラマCDを作っている」ようなイメージ。


ドラマCDには、映像はもちろんありません。

いわゆる「聴覚」だけで楽しむ作品ですよね。


聴覚だけ、ということは、

その媒体である「声」や「音」だけで、

いろんな作品の情報を盛り込まなければならないということ!



あくまでイメージですので、

完全にドラマCDのようにはいきませんが、

それでもやっぱり、「誰に話しかけているのか」「どのくらい先に向かって大きい声を出しているのか」、「今喋っている人がどういう状況なのか」、

という様々な情報を、読み合わせでもある程度伝えられるようにしなければなりません。



そして、ここで重要になってくるんです。


「カット割り」という作業が!!



突拍子もない出来事が起こったり、はたまた悲鳴が聞こえてきたなどの、

物語上での「変化」が起こるのならわかりやすいのですが、

ただただ「会話をしているだけ」のシーンですと、

このような「変化」はありません。


しかもただ淡々としているだけの会話って面白くないんですよね。



では、淡々とした会話を面白くするには??


声のトーンをそれまでと変えて、高くしたり低くしてみる。

これまでの会話のテンポよりも、急に遅くしたり、突然切り込んで喋ってみる。

ちょっと間を入れたりしてみる、というのもアリですね。


ちょっとした「切り替え」を行うんです。


そうすることで、淡々としていただけの会話に、

メリハリがつけられるんです。



そしてそれは、会話の中心人物が変わるときもおんなじ。


そのときの会話の中心が、とある人から別の人に変わった場合、

何かしらの「切り替え」を行うことで、

「今誰がこのシーンでのメインなのか」というのを、

ちょっとだけ誘導するんです。




気づかれましたか??

読み合わせでは、声だけの段階でこの「目線誘導」を行っているのです!



「聴覚での話してたのにいきなり視覚の話になったけど??」

と思いますよね。



でも、ちょっとだけ想像してみてください。

ドラマCDって、聞いているとき、

情景をイメージしながら聞いていませんか?


そして、右側のスピーカーから新しい音(情報)が聞こえてきたら、

イメージしている情景が右側に移動しませんか??



舞台公演は、最終的には視覚も聴覚も両方使って楽しんでいただく娯楽作品ですので、

「声」と「音」のみで作り上げていくわけではありません。


ですが先程のドラマCDと同じように舞台も、

今見せたい(イメージさせたい)場面は、

映像でのカメラワークのようにころころと入れ替わっていくのです。



しかし映像のようにわかりやすく「カット割り」を行えるわけではない、生の舞台の作品。


だったら、

舞台上でのちょっとした動きなどでこの「カット割り」を行い、

そして、読み合わせの段階でも、

声だけでのちょっとした切り替えを行って「カット割り」を行うんです!



「カット割り」を行うのに、

映像のようにカメラという媒体がない舞台公演。


だったらそのカメラの役割は、演出や役者で行うまで!


視覚による「カット割り」は立ち稽古に入ってからになりますが、

その立ち稽古のカット割りにつなげるために、

読み合わせの段階での切り替え、「カット割り」を行っておくのです




さて、

この読み合わせでのカット割りに少々戸惑われた方がいらっしゃいます。



今回第一主義初参戦の森上さんなのですが、

前回お話ししましたように、

森上さんは声のプロの方。


やはり声での表現技術はすごいですし、

何より台本の読み込み方がすごい!



聞き取りやすいのはもちろん、

どこが大事な言葉なのか、またどのように立てるべきなのか、

森上さんのセリフは、すんなりと耳に入ってきます。



しかしながら、

森上さんは、「生」の舞台作品よりも、

「収録」、映像作品に近いお仕事がメインの方。


どうやら「生」と「収録」では、

おんなじ会話でも、この「カット割り」の方法が違うようなのです。




何回か前の稽古にて、

主宰、演出の沢渡さんより、森上さんにこんなオーダーが。


「今の森上さんの切り替えの方法だと、とっても映像的に、

 カメラがゆっくりと自然にズームアップしてくれているんだ。

 そうではなくて、もっと一気に、お客さんの目線を自分に向かせるような切り替えにしてほしいんだ。」



……全っっ然!


言っている意味わかんないですよね!()



正直、こんだけいろいろと前半で説明していた熊谷ですが、

前々から聞いているからなんとなくでも「カット割り」のことを知っているだけ、

というより教えてもらっているだけで、

何も知らなかったら「こうして。」と言われても、

熊谷は全くできません(T_T)



ですが!


ここ!

すごいとこです!


はっきりと戸惑われているんです!

頭上に疑問符も見えているぐらい!


でもそのときの森上さん、

そのオーダーに応えているんです!!



これがプロなのか?!

自分の声をコントロールして表現するのが本職と言えど、

なかなかすぐにはできないであろうことです!



なおかつ!


今の出来事、何回か前の稽古での出来事なのですが、、、


その後、稽古を行う度に変わってきているんです!

森上さんの読み合わせでのお芝居が!


「こうかな?ああかな?」と、

読み合わせでの稽古で毎回確認をして、

次回の稽古にはご自分なりに修正して更なるお芝居を準備してこられる。




いやぁ……


すんごい方が今回参戦されていますよ?()



舞台役者は慣れていないとは言えど、

読み合わせの段階でかなりのクオリティを持ってこられる方。


現段階で、第一主義のレギュラー陣と遜色がないですもん!



ましてや第一主義のお芝居は「会話劇」。

読み合わせでのクオリティが比例しやすいお芝居です。


いやぁ。

どんなお芝居に仕上がっていくのか、

楽しみで仕方がないですね





あ!

ちなみにですが!

この「カット割り」というもの、

熊谷にその目的とこの言葉を教えてくださったのは、

我らが演出補、牛丸裕司さん!



毎公演、熊谷にたくさん大事なことを再確認させてくださる牛さん。


今回の「カット割り」もその一つ!

わかりやすい牛さんの説明がなければ、

熊谷はいろんなことが未だにちんぷんかんぷんすぎて路頭に迷っていたでしょう。



我らが演出補は、作品のクオリティを上げるため、

毎回稽古場で優しく見守ってくださっているのです(*^^*)





今回の日誌、

説明がかなり長くなってしまいましたね(^_^;)



本日の稽古は、

細切れですが、できるところをいくつも読み合わせして終了!


立ち稽古に入るための準備が整ってきていますので、

それに向けて、更なるブラッシュアップの稽古でした




まだまだ梅雨ですし、

天気も不安定なようですので、

どうぞ皆様、体調管理等々お気をつけてくださいね(*^^*)



ではまた




熊谷